H11 須雲川(すくもがわ)
~箱根カルデラの南側を流れる早川の支流~
Sukumogawa River
ジオサイト解説
須雲川は、大きく見ると河道が地質境界になっています。右岸(南側)は外輪山(※1)(成層火山(※2)形成期)の噴出物で、左岸(北側)は浅間山や屏風山などの前期中央火口丘(※3)および後期中央火口丘である二子山の噴出物が見られます。また、川沿いには基盤岩である須雲川安山岩(※4)類が露出しており、中流部ではマグマが岩盤を割りながら上昇してきた跡である「岩脈」を多く見ることができます。特に須雲川自然探勝歩道入口(須雲川バス停下車、須雲川橋付近)より少し上流の右岸には平行岩脈群の露頭があります。
須雲川村は、江戸時代初めの1671(寛永11)年に近世村落として成立したもので、典型的な「間の村」の景観を示しています。指定通行人への松明の提供や街道整備のための人足の提供、箱根関所の足軽衆交代の際の人足の提供など、交通関係の賦役
が多く、街道筋の「間の村」としての役割を担わされていた一方で、挽物
細工なども盛んに行われていました。
※1 外輪山:カルデラを縁どる環状や馬蹄形の尾根状の地形。カルデラの火山とは無関係の地質でできている場合もある。
※2 成層火山:溶岩と火山灰(火砕物)が幾重にも層状に積み重なってできた火山。
※3 前期中央火口丘:カルデラの中にできた比較的小さな火山体を中央火口丘という。箱根火山では前期、後期2つの活動期がある。
※4 安山岩:火山岩の一種。含まれる二酸化ケイ素の量が中程度(53~62重量%)で、カリウム、ナトリウム含有量は比較的少ないもの。
Along the bank of the Sukumogawa River, near the Sukumogawa bus stop, you can see many upright tabular rock bodies called “dikes”; the dikes record the pathways of ascending magma, formed some 250 thousand years ago.
The average width of the dikes is 2.9 m, and a total of 215 dikes have been found, showing that the area widened about 650 m in a northeast–southwest direction on account of the intruding magma swarms.