Mi8 御嶽神社と矢佐芝石丁場(みたけじんじゃとやさしばいしちょうば)
~箱根外輪山のふもとに建つ御嶽神社~
Mitake-jinja shrine & Yasashiba stone quarry sites
ジオサイト解説
箱根外輪山の一つである明神ヶ岳の麓にある三竹地区の鎮守社です。平安時代に建立されたと伝えられ、正式には御嶽権現神社で、三竹の地名はこの神社に由来すると言われています。
参拝用の石段は、小田原市久野の奥から産する久野石(かま石)が使われています。この久野石は、箱根火山起源の凝灰岩で、耐火性に優れ細工も容易なことから、かまどや蔵をはじめ、灯籠や供養塔の覆いに使われてきました。久野地区をはじめとして、小田原市内に久野石を使った蔵などの建造物が点在しています。南足柄市内にも塚原・生駒・狩野などに久野石を使った蔵が現存しています。
中世末から近世にかけて、小田原の井細田から久野を通り、山を越えて御嶽神社を経由し、塚原の日影から中沼・狩野へと抜けた狩野道が利用されてきました。久野石もこの経路を使って運ばれたと考えられています。
鳥居の近くにそびえる鳥居杉は、推定樹齢が500年を超え、樹高はおよそ50mあり、市の天然記念物であるとともに、神奈川名木100選にも指定されています。
また、周辺の社叢
林は、スダジイを中心とした照葉樹林が広がり、イズセンリョウなど貴重な植物群落が見られることから、常緑葉樹林として県の天然記念物に指定されています。
さらに、境内には「お神水 」と呼ばれる箱根外輪山起源の湧き水があり、1年中枯れることなく清水が湧き出ています。
なお、周辺には箱根火山の溶岩が切り出された痕跡を見つけることができます。さらに矢佐芝地区には石丁場が点在し、矢穴が刻まれたり、大名の刻印が彫られたりした巨石を見ることができます。切り出された石は、小田原城などの石垣に使われたと考えられています。