箱根ジオパークについて
箱根ジオパークは、箱根火山を中心とした神奈川県西部の2市3町(小田原市、箱根町、真鶴町、湯河原町、南足柄市)で構成されています。
その箱根火山のふもとに広がる2市3町は、首都圏からわずか90Kmにもかかわらず、豊かで美しい四季に彩られ、古くから地域文化・産業が栄えてきた地域です。
箱根ジオパークの特徴
箱根ジオパークは、プレート境界という世界的にも特異な場所に形成された箱根火山と周辺の地形・地質を大切に守りつつ、国際的な観光に活用し、併せて地域の教育、産業、防災などにも役立つ取組みを目指して活動しています。
箱根火山の活動は、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込むことによってできたマグマが地表に現れたものです。このような太平洋プレートの沈み込みで形成された火山は、北米プレートに属する東北日本からフィリピン海プレートに属する伊豆・小笠原諸島にかけて多数存在しますが、箱根火山は両プレートの境界に近い位置に発達したカルデラ火山として、世界的に注目されています。周辺には多くの活断層や土地の急速な隆起を物語る深成岩や段丘地形などが見られます。
また、箱根火山は火山地形の博物館とも言われ、なだらかな山体斜面と急なカルデラ壁をつくる外輪山、カルデラの中央部に形成された前期中央火口丘、後期中央火口丘など、多数の成層火山や単成火山、溶岩ドームからなる複合火山であり、それぞれの火山から噴出した溶岩流や火山灰などは、独特の火山地形をつくりだしています。
なお、1950年代に故 久野久 先生により確立された形成史は、長い間カルデラ火山の教科書的存在になっていました。2000年代に入り、フィールドワークと最新の分析機器の導入により、新しい山体形成モデルが提案され、さらに新たな火山活動などもわかってきました。
箱根火山を取り巻くプレート境界
(神奈川県立生命の星・地球博物館 宙瞰図KPM-NW0010011を使用)
箱根火山周辺の地形と地質
箱根ジオパークエリアには、箱根火山の地層【緑:約40万年前以降の火山噴出物】、山麓等に広がる火砕流の地層【桃:主に約6.6万年前の箱根火山の噴出物】、伊豆半島に続く古い土台の地層【黄:約400万年前の海底に堆積した早川凝灰角礫岩やその上に重なると考えられる須雲川安山岩類】、足柄山地の地層【灰:伊豆半島と丹沢山地の間にあった海の底に堆積した約200~70万年前の足柄層群】と矢倉岳の深成岩体【赤:約116万年前の石英閃緑岩】、大磯丘陵の地層【薄茶:主に約70万年前以降の海~陸上に堆積した地層】、東部に広がる足柄平野は低地【白:約2万年前以降に海や川などで堆積した地層】の他に千代台地【桃:前述】と鴨宮台地【紫:約2900年前の富士火山崩壊で流れ込んだ地層】があります。
箱根火山の生い立ち
箱根火山は、伊豆半島をつくる伊豆地塊の上に約40万年前に誕生した陸上火山です。伊豆地塊は、フィリピン海プレートの移動にともなって北上し、約100万年前に本州と衝突しました。足柄層群は伊豆地塊北端と本州の間にあった海に堆積した地層です。
箱根火山の活動は、成層火山群の形成→多くの爆発的噴火による箱根カルデラの形成→前期中央火口丘の火山群形成→爆発的噴火による小型カルデラの形成→後期中央火口丘の火山群形成という複雑な歴史をたどったことが分かっています。最新のマグマ噴火は、約3000年前の後期中央火口丘、冠ヶ岳の形成です。その後の活動は水蒸気噴火に限られ、2015年には大涌谷で小規模な水蒸気噴火がありました。
箱根火山の地質
箱根火山は外輪山、前期中央火口丘、後期中央火口丘ともに多くの火山から構成されています。それらを色分けすると下の図のようになります。
詳しくは、神奈川県立生命の星・地球博物館調査研究報告 第13号「箱根火山 -箱根火山および箱根地域の新しい形成発達史-」などを参考にしてください。
箱根火山の火山灰
箱根火山の火山灰は、富士火山の火山灰と共に、偏西風で東方に厚く降り積もり、首都圏の重要な住宅地である相模野台地、武蔵野台地、多摩丘陵などの形成に深くかかわっています。
自然と歴史のテーマパーク
複雑な形成史を有する世界的にユニークな火山、地域固有の動植物
火山の恵みである豊富な温泉地域、地質構造
相模湾に面し様々な動植物が生息する地域
歴史のある古くから地域文化・産業が栄えてきた地域
幼児・児童向け教育普及用絵本「はこねじおぱーくのおはなし」
箱根ジオパーク内の幼児・児童が、地域の魅力を知り、再発見し、誇りを持ってもらえることを目的とした絵本「はこねじおぱーくのおはなし-いつもみているけしきは どうやってできた?-」を作成しました。